休日にだらだらとYouTubeを
観ていて辿り着いた動画。

裏千家15代家元
千玄室さんが
戦争について語ったものです。

私は茶道に疎いのですが
それでも
千利休の名は知っています。
その千利休の子孫
というのですからそれだけでも
もう別世界に暮らすすごい人
なのです。

その方が第二次世界大戦時
特攻隊員だったというのです。
終戦し、玄室さんは帰還できた
のですが、多くの戦友を
亡くしました。

飛行作業の後、
茶道具を持って入隊していた
玄室さんは、仲間にお茶を
ふるまったそうです。
その中のひとりが
「生きて帰ったら本当の茶室で
お茶を飲ませてくれ。」と
言ったという話、
仲間皆が故郷の方角に向って
「おかあさーん!」と
叫んだという話。
学徒出陣で集められた二十歳
前後の若い男性です。
夢もあったと思います。
怖かったと思います。
淋しかったと思います。

戦後、日本の文化を知ろうと
アメリカの将兵が裏千家を訪れ
14代家元が出したお茶を
飲んだ時のこと。
その様子を見た玄室さんは、
「武で負けた。しかし文では
勝ってる。」と、
文でいくことを
決意したそうです。
その後、海外に出向き茶道を
紹介したり、
世界の要人にお茶をふるまう
活動を続けていて、これまでに
70か国以上訪れたというから
驚きです。

この番組内で紹介されている
エピソードのひとつひとつ、
力強い言葉のひとつひとつが
胸に響きます。



ABCテレビニュース
https://www.youtube.com/watch?v=RsjAIKdML3w&t=29

そしてなにより
私がこの動画を観て
一番に感じたのは、
千玄室さんの佇まいの
凄みです。
目の力の強さ。
声。
話す言葉。
この方を前にしたら一瞬で
「参りました!」と
ひれ伏してしまいそうな迫力を
画面越しに感じるのです。
年齢で決めつけるのは甚だ失礼
とは思いつつも、
100歳でこの迫力を出すのは
誰にでもできることでは
ないでしょう。

千利休の子孫であること。
茶道裏千家という由緒正しい
家の嫡男というプレッシャー。
特攻隊員として人の生き死にを
間近で感じてきたこと。
そして何よりも、茶人として
世界平和を実現しようと
積み重ねてきたもの。
100年かけて培ったものが
その佇まいから
滲み出ているのだと
思うのです。
そう考えると、100歳なのに、
ではなく、
100歳だからこその熟成とも
言えるのかもしれません。

時としてSNSは
“リア充アピール”と言われ
いかに自分をよく見せるか、
いかに他者から承認されるかが
主目的になり、投稿する側、
またそれを見る側の精神面に
影響すると言われています。

また、例えば菓子や化粧品の
パッケージは各メーカーが
いかに人目を引き、
よりよいイメージを
与えられるかに躍起になり
その中身と釣り合わなかったり、
環境保護から遠ざかる結果に
なっていたりしては
いないでしょうか。

そんなビジュアル重視の
世の中にどっぷりつかりながら
思うのです。

人間の存在は
その人生で
積み重ねてきたものが
強烈な魅力となり自然と滲み出て、
何も言わずとも
接した相手が感じ取る、それが
究極なのではないのかと。

決して
大声で叫ぶのでもなく、
身振り手振りで
主張するのでもなく、
ただただその場にいるだけで
他を圧し、場を制す。
それこそが「達人」なのかも
しれません。

休日にゴロゴロだらだらと
YouTubeを眺めている私には
遠い道のりです。
でも、素晴らしい先達の姿を
拝見し、「これではいか~ん!」
と襟を正してみたものの、
あまりの暑さにまた横になった
次第です。(笑)

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投稿者について

柔道整復師&パーソナルトレーナー&フィットネスインストラクターです。筋肉、骨、関節を中心に健康に関する情報をあれこれ、読書好きなのでお勧めの本を紹介したり、韓流ドラマ好きなので感動したら思わず感想を書いてしまうこともあるかもしれません。どうぞよろしくお願いします。

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