私は歯ブラシを
かかりつけの歯科医院で
買っています。
その医院の院長が
歯ブラシやフロスの質に
こだわっていて
歯科医が勧めるのなら
間違いないだろうと
もうかれこれ20年以上は
その歯ブラシとフロスを
使い続けているのです。

今日も半年分は
買い溜めておこうと
その歯科医院に
行ってきました。

午後の診療時間が始まる
少し前に着いてしまい
そのせいか
外から見ても院内が暗く
中に入っても
ひとけを感じない。
少し待てば始まるだろうと
見るともなしに待合室の
掲示板に目をやると
文字のみでびっしり綴られた
A4サイズのコピー用紙に
気が付きました。
それは院長からのお知らせで
歯科診療に一区切りをつけ
新規を取らず、現在
治療中の患者のみ最後まで診て
引退するといった
内容だったのです。

少なからずショックを
受けました。
いや、
何が驚きって
院長90歳だということ、
これが最大です。
高齢であることは
分かっていました。
院長の生年月日を小耳にはさみ
そこから勝手に
「80歳か~。すごいなぁ。」と
感心していたのですが
私が大きく間違っていた上に
院長は90歳。
勘違いしていたとはいえ 
高齢を理由に
近々引退するだろうと
ぼんやり予想はしていました。
それでも
いざそれが現実となると
淋しいものです。

私がその歯科医院に
通い始めたのは
かれこれ20年以上まえ。
知り合いに腕のいい歯科医だと
紹介されたのがきっかけです。
とても丁寧で
ともすれば神経質、でも
大切な歯を任せるのですから
そのくらいでちょうど良く
信頼していました。

院長の困った癖は独り言。
私が治療用のベッドに寝て
口を開けるとたいてい
「ん~・・これはこれは・・。」
「困ったぞ~、フ~。」と
頭の上でつぶやくものだから
どんどん
不安にさせられるという。
でもその独り言ももう
聞けないのですね。

今も残った患者さんを診ている
ということは、
90歳でとりあえず現役。
そして緩やかに引退。
高齢でありながら診療を
続けることをどう思うかは
人それぞれ
意見が分かれるかと思います。
ただ私は
いい終わり方だと思うのです。
他の歯科医がうなるほどの
腕を持ち、それを求める人たちに
信頼され、
自身の信念を追求し続け
気付いたら90歳。
体力的な限界を自覚し
だからと言って
放り投げるのではなく
最後の最後まで
責任を全うする。

実は最近特に
「終わり方」を考えることが
増えたのです。
私の仕事は自営業なので
定年がありません。
自分で終わりを決めるのです。
体力気力が衰えたら
終わりにしようと
思っていますが
長年お付き合いのあるお客様を
いきなり放り出すわけには
いかないので
タイミングは重要です。

願わくば
少しは惜しまれつつ
潔く、きれいに、
片付けることができたら
いいなと。
ま、
その前にいい仕事しろよって
ことですけど。





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投稿者について

柔道整復師&パーソナルトレーナー&フィットネスインストラクターです。筋肉、骨、関節を中心に健康に関する情報をあれこれ、読書好きなのでお勧めの本を紹介したり、韓流ドラマ好きなので感動したら思わず感想を書いてしまうこともあるかもしれません。どうぞよろしくお願いします。

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